四柱推命の通変星は10種類あり、名前だけを見ると覚えにくい表です。ところが十干を五角形の上に置くと、10種類は「日干から何歩目か」と「陰陽が同じか違うか」の2つだけで決まっていました。さらに、昔から言われてきた格言のうち7つが、同じひとつの規則から出てきます。ただし、全部がきれいに割り切れたわけではありません。
十干は、五行と陰陽の組み合わせです。木に甲(陽)と乙(陰)、火に丙と丁、土に戊と己、金に庚と辛、水に壬と癸。5つの五行 × 2つの陰陽 = 10です。
記事004で、五行を五角形の頂点に置くと、外周の辺が相生(生む関係)、内側の星が相剋(剋す関係)になることを書きました。十干は、その五角形の各頂点に陽と陰がひとつずつ座ったものです。
通変星は、日干から見たほかの十干との関係です。日干の五行を「0歩」として、五角形を時計回り(相生の向き)に数えてみます。
| 歩数 | 日干との関係 | つながり方 | 陰陽が同じ | 陰陽が違う |
|---|---|---|---|---|
| 0歩 | 同じ五行 | — | 比肩 | 劫財 |
| 1歩 | 日干が生む | 外周の辺 | 食神 | 傷官 |
| 2歩 | 日干が剋す | 内側の星 | 偏財 | 正財 |
| 3歩 | 日干を剋す | 内側の星 | 偏官 | 正官 |
| 4歩 | 日干を生む | 外周の辺 | 偏印 | 印綬 |
図にすると、グループの性格の違いも形で見えてきます。表現(食神・傷官)と知性(偏印・印綬)は、日干と外周の辺でつながる「隣」、財と実行力は、内側の星でつながる「向こう側」です。生む・生まれるという穏やかな関係は隣どうしに、剋す・剋されるという緊張した関係は星の対角線に割り当てられています。
通変星どうしにも、剋し合う関係があります。これも五角形の上の規則で書けます。
どの星も、五角形を 2歩進んだ先にいる「陰陽が同じ星」を剋す
「2歩進む」は相剋の向き、「陰陽が同じ」は同じ陰陽どうしの剋が強いとされることに対応します。この矢印を10本すべて引くと、図のように五芒星が2つできました。日干と陰陽が同じ5つの星(比肩・食神・偏財・偏官・偏印)が内側の五芒星、違う5つの星(劫財・傷官・正財・正官・印綬)が外側の五芒星をつくります。
| 星 | 剋す相手 | 知られている言い回し |
|---|---|---|
| 食神 | 偏官(七殺) | 食神制殺 ── 食神が七殺を抑える |
| 傷官 | 正官 | 傷官見官 ── 傷官が正官を傷つける |
| 偏印 | 食神 | 梟神奪食 ── 偏印(梟)が食神を奪う |
| 印綬 | 傷官 | 傷官佩印 ── 印が傷官を抑えて整える |
| 正財 | 印綬 | 貪財壊印 ── 財が印を壊す |
| 劫財 | 正財 | 劫財 ── 名前そのものが「財を奪う(劫奪する)」の意味 |
| 偏官 | 比肩の位置 = 日干自身 | 七殺攻身 ── 七殺が自分を攻める |
| 比肩 | 偏財 | 名前の付いた格言は確認できず |
| 正官 | 劫財 | 名前の付いた格言は確認できず |
| 偏財 | 偏印 | 名前の付いた格言は確認できず |
ここまでは幾何できれいに割り切れました。では、星の吉凶はどうでしょうか。
清代の命理書『子平真詮』に、次の一節があります。
財官印食,此用神之善而順用之者也;殺傷梟刃,此用神之不善而逆用之者也。 『子平真詮』論用神
財・官(正官)・印(印綬)・食(食神)は「善」で、そのまま活かす。殺(七殺)・傷(傷官)・梟(偏印)・刃(陽刃)は「不善」で、抑えて使う ── という意味です。
そのうえで、この善・不善が「歩数」と「陰陽」で決まっているかを確かめました。
| グループ | 陰陽が同じ星 | 陰陽が違う星 | 善になるのは |
|---|---|---|---|
| 表現(1歩) | 食神 = 善 | 傷官 = 不善 | 同じほう |
| 財(2歩) | 偏財 = 善 | 正財 = 善 | 両方 |
| 実行力(3歩) | 偏官 = 不善 | 正官 = 善 | 違うほう |
| 知性(4歩) | 偏印 = 不善 | 印綬 = 善 | 違うほう |
決まっていません。表現のグループだけ向きが逆で、財は両方とも善です。「陰陽が同じだから凶」のような一段目の規則では説明できません。
ところが、その星が誰を剋すかという二段目で見ると、ほとんど説明がつきます。
| 星 | 分類 | 剋す相手 | 説明がつくか |
|---|---|---|---|
| 食神 | 善 | 不善の七殺を抑える | つく |
| 印綬 | 善 | 不善の傷官を抑える | つく |
| 偏財 | 善 | 不善の偏印(梟)を抑える | つく |
| 正官 | 善 | 劫財(版によって不善)を抑える | つく |
| 傷官 | 不善 | 善の正官を傷つける | つく |
| 偏印 | 不善 | 善の食神を奪う | つく |
| 偏官 | 不善 | 日干自身を攻める | つく |
| 正財 | 善 | 善の印綬を壊す | つかない |
通変星の表は、覚えるものではなく2つの数から出てくるものでした。五角形の上で日干から何歩目か(5通り)と、陰陽が同じか違うか(2通り)。星どうしの剋し合いは二つの五芒星になり、格言の多くはその辺の上に乗っています。
ただし、どの星を善とするかまでは幾何だけでは決まりませんでした。一段目では割り切れず、二段目でも正財が残ります。図形で説明できる範囲と、流派が経験や価値判断で決めてきた範囲の境目が、ちょうどそこにあるのだと思います。