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読みもの / 013

十二運は二通りに数えられる
── 陰干は逆に回るのか

十二運は、日干の勢いを人の一生になぞらえた12の段階です。四柱推命のなかでも、陰の十干(乙・丁・己・辛・癸)の数え方が流派で二つに割れていることで知られています。60の日柱すべてで二つの説を比べると、答えが変わるのはちょうど半分の30。しかも陰の日干では、二つの説の答えが一致する十二支がひとつもありません。その理由は、円の上の図形にありました。

2026-10-01 / 陰陽道ラボ

十二運の数え方

十二運の12段階は、人の一生のたとえになっています。長生(生まれる)、沐浴(産湯)、冠帯(成人)、建禄(働き盛り)、帝旺(頂点)、衰、病、死、墓、絶(無に還る)、胎(宿る)、養(育つ)。そしてまた長生に戻ります。

数え方は単純です。十干ごとに「長生」にあたる十二支が決まっていて、そこから十二支をひとつずつ進めながら段階を当てていきます。陽の十干の長生は次のとおりです。

陽の十干長生帝旺墓
甲(木)亥卯未
丙(火)寅午戌
戊(土)寅午戌
庚(金)巳酉丑
壬(水)申子辰

長生・帝旺・墓の3つを並べると、見覚えのある組が出てきます。甲の亥・卯・未は木局、丙の寅・午・戌は火局、庚の巳・酉・丑は金局、壬の申・子・辰は水局。記事012で見た三合の正三角形は、そのまま「生まれる・頂点・しまわれる」の3点でした。長生はどれも季節のはじまり(四生)、帝旺は季節のまんなか(四正)、墓は季節の終わり(四庫)にあたります。木は冬のはじまりに生まれ、春のまんなかで盛りを迎える、という読みです。

分かれ目① 陰の十干を逆に回すか

陽の十干は、土を除けばどの流派もほぼ同じです。割れるのは陰の十干でした。

伝統説(陽生陰死)では、陰干は、同じ五行の陽干が「死」を迎える十二支で長生を迎え、逆向きに進みます。甲は亥で生まれて午で死ぬので、乙は午で生まれ、巳・辰・卯……と十二支を逆にたどります。陽が生まれるところで陰が死に、陽が死ぬところで陰が生まれる、という対の考え方です。

同一説では、乙を甲と、丁を丙と、まったく同じに数えます。同じ五行なら季節ごとの強さも同じはずだ、という考え方で、武田考玄をはじめ、この立場を採る推命家も多いとされます。

甲と、伝統説の乙を、十二支の円に並べてみます。

子 沐浴 病 丑 冠帯 衰 寅 建禄 帝旺 卯 帝旺 建禄 辰 衰 冠帯 巳 病 沐浴 午 死 長生 未 墓 養 申 絶 胎 酉 胎 絶 戌 養 墓 亥 長生 死 内側:甲(陽の木) 亥で長生、時計回りに進む 外側:乙(陰の木)伝統説 甲が死を迎える午で長生、 反時計回りに進む 対称軸 寅と卯、申と酉のあいだを通り、 どの十二支の上も通らない → 内と外が同じ十二支は   ひとつもない 同一説では、外側も内側と まったく同じになります
図1 内側が甲、外側が伝統説の乙の十二運。乙は甲を鏡に映した並びになっていて、対称軸(破線)は十二支と十二支のあいだを通ります。
陰の日干では、二つの説の答えが一致する十二支がひとつもありません。乙・丁・己・辛・癸のどれでも、12の十二支すべてで答えが変わります。

理由は図1の形です。同一説の乙は、甲の並びをそのまま回したもの。伝統説の乙は、甲の並びを鏡に映したものです。回したものと映したものが重なるのは、鏡の軸の上だけです。ところが陽干の長生と死はいつも7つ離れていて、7は奇数なので、軸は十二支のまんなかではなく十二支と十二支のあいだを通ります。軸の上に十二支がひとつもないので、一致するところもひとつもありません。

つまり陰の日干の人は、年柱・月柱・日柱・時柱の4つの十二運がすべて、どちらの説を採るかで入れ替わります。陰の日干に生まれる人は、1950年から2049年の36,525日のうち18,262日、ちょうど半分です。

分かれ目② 土をどこから数えるか

もうひとつの分かれ目は土です。土には決まった季節がないので、戊・己の長生をどこに置くかが問題になります。

火土同根は、土を生む火に合わせて、戊を丙と同じく寅から数えます。四柱推命をはじめ多くの占術がこの立場です。水土長生は、戊を壬と同じく申から数えるもので、主に断易(五行易)や納音の十二運で使われます。寅と申は円の反対側なので、二つの説の戊はちょうど6段階ずれ、冠帯と墓、長生と病、帝旺と胎が入れ替わります。

四柱推命では火土同根が主流なので、実際の分かれ目は①の二通りと考えてよさそうです。ただ、数えるときは両方を入れておきます。

60の日柱で数える

①の2通り × ②の2通りで、4つの数え方ができます。60の日柱それぞれについて、日柱の十二運がいくつの答えに割れるかを数えました。

日柱数答えの数理由
甲・丙・庚・壬の日241陽干で土でもないので、どの説でも同じ
戊の日62②だけで変わる
乙・丁・辛・癸の日242①だけで変わる
己の日64①でも②でも変わる

己の日は4つの答えに割れます。たとえば己亥の日に生まれた人の日柱の十二運は、伝統説・火土同根なら胎、同一説・火土同根なら帝旺、伝統説・水土長生なら絶、同一説・水土長生なら建禄。同じ日の生まれでも、勢いが最も強いとされる帝旺から、最も弱いとされる絶まで、答えがここまで散らばります。

四柱推命で主流の火土同根に絞っても、60のうち30の日柱で答えが変わります。

伝統説では、出ない段階がある

もうひとつ、数えてみて分かったことがあります。60の日柱が、12の段階にいくつずつ入るかです。

伝統説(陰干は逆に数える) 丙寅 丁酉 戊寅 己酉 壬申 癸卯 6 長生 甲子 乙巳 庚午 辛亥 4 沐浴 丁未 丙辰 戊辰 己未 癸丑 壬戌 6 冠帯 甲寅 乙卯 庚申 辛酉 4 建禄 丙午 丁巳 己巳 戊午 壬子 癸亥 6 帝旺 乙丑 甲辰 辛未 庚戌 4 衰 丁卯 丙申 己卯 戊申 癸酉 壬寅 6 病 乙亥 甲午 辛巳 庚子 4 死 丁丑 丙戌 己丑 戊戌 癸未 壬辰 6 墓 甲申 乙酉 庚寅 辛卯 4 絶 丙子 丁亥 戊子 己亥 壬午 癸巳 6 胎 甲戌 乙未 庚辰 辛丑 4 養 同一説(陰干も陽干と同じ) 乙亥 丙寅 戊寅 辛巳 壬申 5 長生 甲子 丁卯 己卯 庚午 癸酉 5 沐浴 乙丑 丙辰 戊辰 辛未 壬戌 5 冠帯 甲寅 丁巳 己巳 庚申 癸亥 5 建禄 乙卯 丙午 戊午 辛酉 壬子 5 帝旺 甲辰 丁未 己未 庚戌 癸丑 5 衰 乙巳 丙申 戊申 辛亥 壬寅 5 病 甲午 丁酉 己酉 庚子 癸卯 5 死 乙未 丙戌 戊戌 辛丑 壬辰 5 墓 甲申 丁亥 己亥 庚寅 癸巳 5 絶 乙酉 丙子 戊子 辛卯 壬午 5 胎 甲戌 丁丑 己丑 庚辰 癸未 5 養 木 火 土 金 水 点ひとつ=日柱ひとつ、色は日干の五行
図2 60の日柱を、日柱の十二運ごとに積み上げたもの(火土同根)。点ひとつが日柱ひとつで、色は日干の五行です。上の伝統説では、ひとつの段階に入る五行が木・金か、火・土・水かのどちらかに分かれています。

同一説では、どの段階にもちょうど5つずつ入ります。60 = 12 × 5 で、きれいに均等です。ところが伝統説では、長生・冠帯・帝旺・病・墓・胎に6つずつ、沐浴・建禄・衰・死・絶・養に4つずつと、交互に偏ります。

理由は記事012で見た六十干支の仕組みです。陽の十干は陽の十二支とだけ、陰の十干は陰の十二支とだけ組むので、ひとつの十干が日柱で出会う十二支は6つだけ。その6つが、伝統説では次のように振り分けられます。

日干伝統説で日柱に出る段階同一説で日柱に出る段階
甲・庚沐浴・建禄・衰・死・絶・養沐浴・建禄・衰・死・絶・養
乙・辛沐浴・建禄・衰・死・絶・養長生・冠帯・帝旺・病・墓・胎
丙・戊・壬長生・冠帯・帝旺・病・墓・胎長生・冠帯・帝旺・病・墓・胎
丁・己・癸長生・冠帯・帝旺・病・墓・胎沐浴・建禄・衰・死・絶・養
伝統説では、木と金の日干の人の日柱は、長生・冠帯・帝旺には決してなりません。火・土・水の日干の人の日柱は、沐浴・建禄・衰には決してなりません。日柱の十二運だけを見るかぎり、12の段階のうち半分は、日干の五行によって最初から閉じています。

同一説では、乙と辛がもう半分を受け持つので、木の人も金の人も12の段階すべてに入りえます。均等に分かれるのは同一説のほうです。

12の動物で知られる占いと照らし合わせる

日柱の十二運で性格を読むものとして広く知られているのが、十二運を12種類の動物に置き換えた動物占いです。60分類のキャラクターには1から60の番号が付いていて、この番号は六十干支の順番(1が甲子)に対応しています。

この占いがどちらの説を使っているのかを確かめました。外部サイトで公開されている「番号と動物」の対応48件と、「動物と十二運」の対応を組み合わせ、4つの数え方それぞれで計算した十二運と突き合わせています。

数え方一致
伝統説・火土同根48 / 48
伝統説・水土長生37 / 48
同一説・火土同根27 / 48
同一説・水土長生21 / 48
伝統説・火土同根で、48件すべてが一致しました。この占いは、陰干を逆に数える伝統的な十二運を使っていることになります。図2の上段のとおり、段階によって6つの日柱が入るものと4つのものがあり、60分類は12 × 5の均等な割り方にはなっていないはずです。

「動物占い」は株式会社ノラコムの登録商標です。当サイトはこの占いとは関係がなく、キャラクターの判定も行っていません。照合に使った対応表は下記の外部サイトによるもので、公式の資料ではありません。

まとめ ── 回すか、映すか

十二運の流派差は、陰の十干を回すか、鏡に映すかの違いでした。回しても映しても12段階の並び自体は変わらないのに、軸が十二支のあいだを通るせいで、陰の日干では答えが全部入れ替わります。

どちらが正しいかは、計算では決められません。ただ割れ方は、四柱推命の範囲ではこの二通りにほぼ限られます。そこで四柱推命ナビでは、十二運を伝統説と同一説の両方並べて出すことにしました。陽の日干の人はどちらでも同じ答え、陰の日干の人は二つの答えが並びます。