十二運は、日干の勢いを人の一生になぞらえた12の段階です。四柱推命のなかでも、陰の十干(乙・丁・己・辛・癸)の数え方が流派で二つに割れていることで知られています。60の日柱すべてで二つの説を比べると、答えが変わるのはちょうど半分の30。しかも陰の日干では、二つの説の答えが一致する十二支がひとつもありません。その理由は、円の上の図形にありました。
十二運の12段階は、人の一生のたとえになっています。長生(生まれる)、沐浴(産湯)、冠帯(成人)、建禄(働き盛り)、帝旺(頂点)、衰、病、死、墓、絶(無に還る)、胎(宿る)、養(育つ)。そしてまた長生に戻ります。
数え方は単純です。十干ごとに「長生」にあたる十二支が決まっていて、そこから十二支をひとつずつ進めながら段階を当てていきます。陽の十干の長生は次のとおりです。
| 陽の十干 | 長生 | 帝旺 | 墓 |
|---|---|---|---|
| 甲(木) | 亥 | 卯 | 未 |
| 丙(火) | 寅 | 午 | 戌 |
| 戊(土) | 寅 | 午 | 戌 |
| 庚(金) | 巳 | 酉 | 丑 |
| 壬(水) | 申 | 子 | 辰 |
長生・帝旺・墓の3つを並べると、見覚えのある組が出てきます。甲の亥・卯・未は木局、丙の寅・午・戌は火局、庚の巳・酉・丑は金局、壬の申・子・辰は水局。記事012で見た三合の正三角形は、そのまま「生まれる・頂点・しまわれる」の3点でした。長生はどれも季節のはじまり(四生)、帝旺は季節のまんなか(四正)、墓は季節の終わり(四庫)にあたります。木は冬のはじまりに生まれ、春のまんなかで盛りを迎える、という読みです。
陽の十干は、土を除けばどの流派もほぼ同じです。割れるのは陰の十干でした。
伝統説(陽生陰死)では、陰干は、同じ五行の陽干が「死」を迎える十二支で長生を迎え、逆向きに進みます。甲は亥で生まれて午で死ぬので、乙は午で生まれ、巳・辰・卯……と十二支を逆にたどります。陽が生まれるところで陰が死に、陽が死ぬところで陰が生まれる、という対の考え方です。
同一説では、乙を甲と、丁を丙と、まったく同じに数えます。同じ五行なら季節ごとの強さも同じはずだ、という考え方で、武田考玄をはじめ、この立場を採る推命家も多いとされます。
甲と、伝統説の乙を、十二支の円に並べてみます。
つまり陰の日干の人は、年柱・月柱・日柱・時柱の4つの十二運がすべて、どちらの説を採るかで入れ替わります。陰の日干に生まれる人は、1950年から2049年の36,525日のうち18,262日、ちょうど半分です。
もうひとつの分かれ目は土です。土には決まった季節がないので、戊・己の長生をどこに置くかが問題になります。
火土同根は、土を生む火に合わせて、戊を丙と同じく寅から数えます。四柱推命をはじめ多くの占術がこの立場です。水土長生は、戊を壬と同じく申から数えるもので、主に断易(五行易)や納音の十二運で使われます。寅と申は円の反対側なので、二つの説の戊はちょうど6段階ずれ、冠帯と墓、長生と病、帝旺と胎が入れ替わります。
四柱推命では火土同根が主流なので、実際の分かれ目は①の二通りと考えてよさそうです。ただ、数えるときは両方を入れておきます。
①の2通り × ②の2通りで、4つの数え方ができます。60の日柱それぞれについて、日柱の十二運がいくつの答えに割れるかを数えました。
| 日柱 | 数 | 答えの数 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 甲・丙・庚・壬の日 | 24 | 1 | 陽干で土でもないので、どの説でも同じ |
| 戊の日 | 6 | 2 | ②だけで変わる |
| 乙・丁・辛・癸の日 | 24 | 2 | ①だけで変わる |
| 己の日 | 6 | 4 | ①でも②でも変わる |
己の日は4つの答えに割れます。たとえば己亥の日に生まれた人の日柱の十二運は、伝統説・火土同根なら胎、同一説・火土同根なら帝旺、伝統説・水土長生なら絶、同一説・水土長生なら建禄。同じ日の生まれでも、勢いが最も強いとされる帝旺から、最も弱いとされる絶まで、答えがここまで散らばります。
四柱推命で主流の火土同根に絞っても、60のうち30の日柱で答えが変わります。
もうひとつ、数えてみて分かったことがあります。60の日柱が、12の段階にいくつずつ入るかです。
同一説では、どの段階にもちょうど5つずつ入ります。60 = 12 × 5 で、きれいに均等です。ところが伝統説では、長生・冠帯・帝旺・病・墓・胎に6つずつ、沐浴・建禄・衰・死・絶・養に4つずつと、交互に偏ります。
理由は記事012で見た六十干支の仕組みです。陽の十干は陽の十二支とだけ、陰の十干は陰の十二支とだけ組むので、ひとつの十干が日柱で出会う十二支は6つだけ。その6つが、伝統説では次のように振り分けられます。
| 日干 | 伝統説で日柱に出る段階 | 同一説で日柱に出る段階 |
|---|---|---|
| 甲・庚 | 沐浴・建禄・衰・死・絶・養 | 沐浴・建禄・衰・死・絶・養 |
| 乙・辛 | 沐浴・建禄・衰・死・絶・養 | 長生・冠帯・帝旺・病・墓・胎 |
| 丙・戊・壬 | 長生・冠帯・帝旺・病・墓・胎 | 長生・冠帯・帝旺・病・墓・胎 |
| 丁・己・癸 | 長生・冠帯・帝旺・病・墓・胎 | 沐浴・建禄・衰・死・絶・養 |
日柱の十二運で性格を読むものとして広く知られているのが、十二運を12種類の動物に置き換えた動物占いです。60分類のキャラクターには1から60の番号が付いていて、この番号は六十干支の順番(1が甲子)に対応しています。
この占いがどちらの説を使っているのかを確かめました。外部サイトで公開されている「番号と動物」の対応48件と、「動物と十二運」の対応を組み合わせ、4つの数え方それぞれで計算した十二運と突き合わせています。
| 数え方 | 一致 |
|---|---|
| 伝統説・火土同根 | 48 / 48 |
| 伝統説・水土長生 | 37 / 48 |
| 同一説・火土同根 | 27 / 48 |
| 同一説・水土長生 | 21 / 48 |
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十二運の流派差は、陰の十干を回すか、鏡に映すかの違いでした。回しても映しても12段階の並び自体は変わらないのに、軸が十二支のあいだを通るせいで、陰の日干では答えが全部入れ替わります。
どちらが正しいかは、計算では決められません。ただ割れ方は、四柱推命の範囲ではこの二通りにほぼ限られます。そこで四柱推命ナビでは、十二運を伝統説と同一説の両方並べて出すことにしました。陽の日干の人はどちらでも同じ答え、陰の日干の人は二つの答えが並びます。
読みもの 012 ── 十二支は三角と四角でできている 三合の正三角形、四正・四生・四庫の正方形、空亡の六角形。十二運の長生・帝旺・墓が乗っている図形の話です。 読む →