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読みもの / 007

本命殺とは何か
── 9年に一度、それが消える年がある

凶方位には、誰にとっても凶のものと、自分にだけ凶のものがあります。後者が本命殺・本命的殺です。これは9年で八方位を一巡し、1年だけ消えます。ではその年は得なのか──予想を立てて計算したら、外れました。

2026-09-15 / 陰陽道ラボ

凶方位には2種類ある

吉方位ナビが「凶」と出す方位は、性質の違う2つのグループに分かれます。

種類何で決まるか誰にとって凶か
五黄殺五黄土星がいる方位全員
暗剣殺五黄殺の正反対全員
歳破その年の十二支の正反対全員
月破その節月の十二支の正反対全員
本命殺自分の本命星がいる方位自分だけ
本命的殺本命殺の正反対自分だけ

上の4つは、同じ日に同じ場所にいる全員にとって同じです。下の2つだけが人によって変わります。夫婦や友人と同じ旅に出ても、片方だけ凶になることがあるのはこれが理由です。

本命殺は「自分がいる場所」

定義は拍子抜けするほど単純です。盤の上で自分の本命星が座っている方位が本命殺。その正反対が本命的殺。それだけです。

南東9九紫
五黄殺5五黄
本命的殺7七赤
8八白
中宮1一白
西3三碧
本命殺4四緑
6六白
北西2二黒
2026年の年盤(中宮=一白水星)。四緑木星の人にとって、自分の星がいる北東が本命殺、その正反対の南西が本命的殺。五黄がいる南は全員共通の五黄殺。

なぜ自分の星の場所が凶なのか。すでに自分がそこにいるから、これ以上そこへ行っても何も足されない——という説明がよくされます。エネルギーを受け取る側ではなく、消費する側になる、とも。

当サイトはこの解釈の当否を判定しませんが、「どこが本命殺になるか」は完全に計算で決まります。そこを見ていきます。

9年で一巡し、1年だけ消える

年盤の中宮は、毎年1つずつ進んで9年で元に戻ります。ということは、自分の星の位置も9年周期で巡る。計算するとこうなります。

本命星202620272028202920302031203220332034
一白水星なし北西西北東南西南東
二黒土星北西西北東南西南東なし
三碧木星西北東南西南東なし北西
四緑木星北東南西南東なし北西西
五黄土星南西南東なし北西西北東
六白金星南西南東なし北西西北東
七赤金星南西南東なし北西西北東
八白土星南東なし北西西北東南西
九紫火星南東なし北西西北東南西

どの本命星も、9年で八方位をちょうど一巡します。同じ方位が2回来ることはありません。

そして9年のうち1年、本命殺が「なし」になる年があります。自分の本命星が中宮に入る年です。中宮には方位がないので、本命殺も本命的殺も存在しません。

表を横に見ると、どの星も北西 → 西 → 北東 → 南 → 北 → 南西 → 東 → 南東 → なしという同じ順番で巡っています。違うのはスタート地点が1年ずつずれていることだけ。9人が同じ輪の上を、1つずつ離れて回っている形です。

月盤でも同じことが起こります。月盤の中宮も9節月で一巡するので、本命殺は9か月ごとに同じ方位に戻り、9か月に1度は消えます。つまり年に1回か2回、自分だけの凶方位がない月があります。

では、その年は得なのか

ここで自然な予想が立ちます。

予想:本命殺と本命的殺が消えるなら、塞がる方位が2つ減る。八方位しかないところで2つは大きいから、その年は吉方位がはっきり増えるはずだ。

確かめました。2026年から2043年までの216節月について、本命星9通りすべてで吉方位の数を数え、「自分の星が中宮の年」と「それ以外の年」に分けて平均を取ります。

00.511.51節月あたりの吉方位の数(平均)一白水星 中宮の年 0.58方位0.58一白水星 それ以外 0.73方位0.73一白水星二黒土星 中宮の年 1.17方位1.17二黒土星 それ以外 0.71方位0.71二黒土星三碧木星 中宮の年 0.42方位0.42三碧木星 それ以外 0.41方位0.41三碧木星四緑木星 中宮の年 0.50方位0.50四緑木星 それ以外 0.30方位0.30四緑木星五黄土星 中宮の年 1.75方位1.75五黄土星 それ以外 1.52方位1.52五黄土星六白金星 中宮の年 1.17方位1.17六白金星 それ以外 0.70方位0.70六白金星七赤金星 中宮の年 1.25方位1.25七赤金星 それ以外 0.62方位0.62七赤金星八白土星 中宮の年 0.79方位0.79八白土星 それ以外 0.71方位0.71八白土星九紫火星 中宮の年 0.71方位0.71九紫火星 それ以外 0.69方位0.69九紫火星
金色が「自分の星が中宮の年」、青が「それ以外の年」。1節月あたりの吉方位の平均数。

予想は、半分しか当たりませんでした。

増えた星:七赤金星 2.0倍/四緑木星 1.7倍/六白金星 1.7倍/二黒土星 1.6倍

ほとんど変わらない星:三碧木星 1.0倍/九紫火星 1.0倍/八白土星 1.1倍

そして一白水星は 0.8倍。むしろ減っています。

なぜ外れたのか

見落としていたことがあります。自分の星が中宮に入るとき、盤全体の配置も入れ替わっているということです。

本命殺・本命的殺という2つの「穴」は確かに塞がらなくなります。しかし同時に、八方位に座る星の顔ぶれが変わる。すると自分の本命星から見た五行の関係(生気・比和・退気・殺気・死気)も全部変わります。読みもの004で見たとおり、この関係は星ごとに有利不利がはっきりしています。

つまり「凶方位が2つ減る」プラスと、「盤の顔ぶれが変わる」プラスマイナスが同時に起きている。差し引きがどちらに転ぶかは星によって違い、一白水星の場合はマイナスのほうが勝った、ということです。

予想を書いてから計算したので、外れたことも含めてそのまま載せています。この手のものは、考えただけでは符号すら当たりません。

五黄土星だけは事情が違う

読みもの004で触れたことの補足です。

本命殺は自分の星がいる方位、五黄殺は五黄土星がいる方位五黄土星の人にとっては、この二つが常に同じ方位になります。本命的殺と暗剣殺も同じく重なる。

その結果、五黄土星の人には「自分だけの凶方位」が存在しません。全員共通の凶方位に吸収されてしまうからです。他の8星が共通の凶方位に加えて2方位を余分に塞がれるのに対し、五黄土星だけがその負担を負わない。

グラフで五黄土星が突出しているのは、これが理由です。

使い方

確かめ方

本命殺   盤の上で本命星が座っている方位。本命的殺はその正反対
巡りの検算 2026〜2034年の年盤を生成し、9星それぞれの位置を総当たり
      → 9年で8方位+中央(なし)をちょうど一巡することを確認
月盤    同じ手順を節月で実施し、9節月周期であることを確認
吉方位の数 2026〜2043年の216節月 × 本命星9通り
      「年盤で吉 かつ 月盤で吉 かつ 六大凶方位でない」方位を数え、
      中宮の年とそれ以外に分けて平均

盤の生成規則は読みもの001と同じものです。流派によって退気を吉としない扱いがあり、その場合は数字が変わります。

つづき